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ドラマ『対岸の家事』第三話の感想-絵本「雨のゆくえ」はどこで買える?

「対岸の家事」の感想 人気ドラマの感想

海の上の雨に気づけるか——『対岸の家事』が照らす、働く母たちの見えない現実

見えない雨、見過ごされる痛み

「海の上の雨は誰も気付かない」。この静かで印象的な一文は、ドラマ『対岸の家事』が描く現代社会の矛盾と、働く母親たちの苦悩を象徴するメッセージ。家庭を守りながら職場でも役割を果たす彼女たちは、日々の生活の中で、自分の感情や疲れを後回しにしてしまうのです。だからこそ、表面では見えない「雨」に誰かが気づくこと、それがどれだけ大切かをこのドラマは教えてくれます。

ドラマ「対岸の家事」第三話の感想

子どもの病気が突きつける現実

主人公・礼子の娘と息子が立て続けにおたふく風邪にかかったことで、物語は大きく動き出します。頼りにしていた病児保育も利用できず、実家も遠く頼れない。働く母親にとって、子どもの体調不良は常にスケジュールを狂わせる緊急事態。やむなく礼子は、ママ友である詩穂に助けを求めるのです。

詩穂は、その頼み方に戸惑いを見せるながらも、ママ友の苦境を無視できず、預かることに。礼子は、感謝の気持ちを、対価=お金で示し、それが詩穂のモヤモヤを作り出します。詩穂は、「人を助けることは損得ではない」と毅然とした態度で応えます。このやり取りは、利害で動く社会のなかで、真の「助け合い」とは何かを問い直すきっかけとなるでしょう。

職場と家庭、挟まれる親たちの現実

礼子の職場にも、無関心や理解の乏しさが垣間見えます。上司の対応は形式的で、働く親の状況に寄り添っているとは言いがたいんですよね。さらに、夫の存在感の薄さが、礼子の孤独を一層際立たせています。家庭内での分担が偏る現実は、今なお多くの家庭に共通する課題だと言えるでしょう。

一方で、冷たく映っていた同僚・今井の内面が描かれることで、物語は思わぬ深みを見せます。今井は実は礼子を気にかけており、誰にも言えない病気の愛犬への想いを抱えていたのですから。その隠された優しさと葛藤が明かされることで、人は見た目だけでは判断できないということを丁寧に描いています。

絵本「雨のゆくえ」が映す、母と娘の絆

ドラマの中で繰り返し登場する絵本『雨のゆくえ』。それは、詩穂とその母親との関係を象徴する存在であり、物語の軸として静かに流れています。人が気づかない「雨」は、母の無償の愛や、子どもへの無言の想いとも重なりますよね。詩穂自身も母との関係に葛藤を抱えており、その痛みが礼子とのやり取りの中で滲み出てくるのです。

この「雨のゆくえ」という絵本は、ドラマオリジナル絵本みたいで、「どこかで買える?」と思って探してみたのですが、ありませんでした。

むらいゆき・さく
さかきよしこ・え

とまで書いてあったので、実在する絵本作家の方が描かれた本に違いないと思って、あちこち調べてみたのですが、架空の作家さんみたいでした。

絵本としても、とても良くできていて、市販されていてもおかしくないですよね。

ネットでも、「この絵本読みたい」「この絵本、どこに売ってるの?」「私の子どもにも読んであげたい」という声があがっています。

もしかしたら、今後、販売される可能性はあるかもしれません。

「対岸の家事」第三話の感想

支え合う社会のかたちとは

育児と仕事の両立に苦しむ親たちが、互いにどう支え合えるのか。それは個人間の問題だけではなく、社会全体の仕組みにも関わる大きなテーマです。ドラマ『対岸の家事』は、感情をあらわにすることを良しとしない空気の中で、それでも人と人との関わりの中に救いがあると、静かに訴えているのです。

そして何より、このドラマは「見えないもの」に目を向けることの大切さを教えてくれます。海の上に降る雨に気づくように、隣の人の苦しみにそっと手を差し伸べられる社会であること。それが、誰もが安心して子育てできる未来への第一歩なのかもしれませんね。。