スピッツ「楓」が映画化に至るまでの経緯 🎬
スピッツの作品は、どれもが映画になってもおかしくないくらいのストーリー性が感じられ、一度聴いただけで、聴いた人の気持ちを、内面から揺さぶられるような気持ちになります。
私もずっとファンで、たいていの歌詞は、見ただけで、聴いた時の想い出と共に、メロディーが浮かんでくるくらい。
そんなスピッツの作品の中でも、「楓」はスペシャルな一曲、という方も多いことでしょう。
そんな「楓」は1998年に8thアルバム『フェイクファー』からシングルカットされ、デビューからすでに15年が経過した頃にリリースされました。
草野マサムネさんが歌詞に込めた「さよなら 君の声を抱いて歩いていく」というフレーズは、当時から多くのファンに寄り添い、別れた誰かを思う強い感情と優しさを届けてきました。発売以来、松任谷由実さんや上白石萌歌さん、Crystal Kayさん、Uruさんなど、世代もジャンルも超えたアーティストによってカバーされてきたことも、いかに「楓」が多くの人にとって特別な曲であるかを物語っています。
「楓」という言葉が持つイメージ―秋の紅葉や季節の移ろい、そして静かな余韻。そうした情景は、映画化の話題が浮上した今、自然と心を打ちます。初めてこのニュースを耳にしたとき、まるで懐かしい音が映像になって蘇ってくるような気持ちになりました。
映画版『楓』の物語とキーワード解説
今回の映画『楓』は、スピッツの名曲を「原案」として据え、そこからオリジナルの物語が紡がれます。主演は、人生で大切な人を失い、その痛みに足を取られた男女ふたり。
登場人物たちは、過去に縛られながらも、季節の移ろいと共に少しずつ歩き出していく様子が描かれるそうです。
本作のキーワードは、「大切な思い出」「美しい変化」「遠慮」。
これは、「楓」の花言葉そのものですが、物語の構造にも深く織り込まれています。
特に行定勲監督が語った「遠慮」の要素は、主人公の男性が「相手を想って自分の気持ちに蓋をする」というエモーショナルな主軸になっていて、非常に胸を締めつけられる構図です。
私自身、あのサビを聴くたびに思い出す、誰かとの別れ。けれど、その先にある小さな一歩を踏み出そうとする力──それが映像を通してどう表現されるのか、期待が高まりますね。
行定勲監督が再び挑む“喪失と再生”
監督は『世界の中心で、愛をさけぶ』（2004年公開）の行定勲さん。
あの作品では、大切な人を失った後に、「心に残したまま前へ歩む」というラストが多くの涙を呼びました。
そして、その作品から約20年後に「再生の物語」をもう一度描く――この偶然は、まさに運命の巡り合わせのようです。
行定監督ご自身も「20年前のラストと、今また『楓』に乗せて喪失から歩き出す物語に携われることに胸が熱くなった」とコメントしています。
彼がもう一度「再生の物語」に挑む姿勢には、時を経ても変わらない普遍的なテーマへの忠実な信念を感じさせられますし、この作品が単なる「楽曲の映像化」にとどまらず、心に響くドラマに昇華される予感がとても強いです。
脚本・高橋泉が紡ぐ「色褪せない物語」
脚本を手がけるのは、高橋泉さん。彼女は『ソラニン』や『東京リベンジャーズ』といった、音楽や青春、再生を描くストーリーで注目を集めてきました。
スピッツの「楓」は美しくも切なさを伴う歌詞と旋律を持っていますが、高橋さんがどう物語として言葉と映像に落とし込んだのかが非常に興味深いポイントです。
「楓」は曲そのものが静かな力を持っている一方、映像作品としてはそこにどう起承転結をつけるか。高橋さんは、原案の歌詞を尊重しつつ、登場人物たちの個性や背景を丁寧に掘り下げてくれることでしょう。ファンとしては、曲の持つ「余白」をどう映画で表現してくれるのか、今から想像が膨らんで胸が高鳴ります。
ニュージーランドロケが映す“心象風景”
解禁された第1弾ビジュアルとアナウンス映像では、ニュージーランドの青空と自然が広がっていて、映像の美しさが印象的でした。緑の山々、湖、星空――豊かな自然が、都市の中とは違った時間の流れを感じさせてくれます。
そして、日常の風景として車のラジオ、学校の屋上、路地裏の階段なども映し出されていました。これらは楽曲「楓」に込められた日常の記憶とリンクし、喪失と再生、そして小さな希望の光へと繋がる象徴として機能しているように感じます。
このロケーションは映画化にとって大変勇気のある選択でもありますが、ファンにとっては曲を聴くとき感じるあの「風の匂い」や「季節の終わり」の感覚が、より深く視覚化されるのではないかと楽しみです。
ファンと制作陣が語る「楓」への想い
プロデューサーの井手陽子さんは「人生を通して聴き続けてきた曲と言っても過言ではない」「年を重ね、別れを経験するたびにいつも自分を未来へと導いてくれた」と語っています。一人の聴き手としての彼女の体験が、映画化への強い動機となったことが伝わってきます。
SNSではすでに、ファンから「生涯の1本になるかもしれない」「泣きそう」といったコメントが多く寄せられています。中には、
「あのサビを聴くだけで、涙が止まらない」
「映画でもあの声が聞けると思うと心が震える」
といった声もあり、映画への期待と共鳴の大きさを実感しています。
「楓」は時代を超えて歌い継がれ、聴く人の人生に寄り添う一曲です。映画によって、また新たな命が吹き込まれ、次世代にも深く刻まれていくことでしょう。
結論：時を超えて心に響く「楓」の再生の物語
スピッツの「楓」は、1998年の発売以来、多くの人の別れと歩みに寄り添ってきた名曲です。その歌詞とメロディは、私たちが誰かを失う悲しみや、その先にある小さな一歩を優しく包んでくれます。
今回、行定勲監督と高橋泉さんが、その楽曲にインスパイアされて物語を紡ぎ、ニュージーランドの自然と日常の風景を舞台に「喪失と再生」を描く新しい映画『楓』が誕生します。その試みによって、スピッツのファンである私たちは、またひとつ深い感動に出会うでしょう。
2025年12月19日、劇場で『楓』が公開される日、スクリーン越しにあのサビが流れた瞬間、多くの人が想いを重ね、涙と共に新たな前進を心に刻むに違いありません。
FAQ
Q1. 映画『楓』はどのような物語ですか？
大切な人を失った男女ふたりが、過去と向き合いながらも季節と共に再生していく物語です。「思い出」や「遠慮」などをキーワードに、繊細な心の動きを描いたラブストーリーです。
Q2. 楓の花言葉にはどのような意味がありますか？
「調和」「美しい変化」「大切な思い出」「遠慮」などで、映画でもストーリーや映像に深く反映されるテーマになっています。
Q3. 行定勲監督の他の代表作は何ですか？
『世界の中心で、愛をさけぶ』（2004年）のほか、『GO』『パレード』などで知られ、多くの観客の心を掴んできた実力派監督です。
Q4. 「楓」はなぜ今になって映画化されたのですか？
1998年のリリース以来、歌い継がれ、別れと前進をテーマに多くの世代に愛されてきた曲だからこそ、タイミングが成熟した今、映像化にふさわしい時期だったと制作陣は語っています。
Q5. 撮影されたニュージーランドの場所はどこですか？
第1弾ビジュアルでは緑豊かな山々や湖、星空などが映っており、具体的なロケ地としてはピーターシャム地域周辺が有力視されています（公式発表待ち）。
情報元:スピッツの名曲「楓」27年越しの映画化 行定勲監督が描く新たなラブストーリー
