静寂の雪景色が揺らぐ—観光客急増に揺れる小樽市の今

北海道の西海岸に佇む小樽市。かつて港町として栄え、今では観光地として名を馳せるこの街が、いま重大な問題に直面している。1995年に公開された映画『Love Letter』の舞台となり、特に冬の風景が人々を魅了するこの地に、近年急増する外国人観光客のマナー問題が深刻化しているのだ。

映画のロケ地として人気爆発——訪れる観光客は過去最高に
美しい風景の裏で——観光マナー問題が深刻化
小樽市の取り組み——観光地と住民の共存を目指して
『Love Letter』がもたらした影響——映画の魅力が今も息づく街
観光地・小樽の未来——訪れる人も、住む人も心地よい街へ
1. 関連

映画のロケ地として人気爆発——訪れる観光客は過去最高に

映画『Love Letter』は、中山美穂と豊川悦司が主演を務め、淡く切ない物語が観る者の心を打つ作品だ。特に雪に覆われた小樽の景色は映画の印象をさらに引き立て、観光地としての魅力を高めた。

昨年、小樽を訪れた外国人宿泊客は過去最高の約9万9千人を記録している。日帰り客を含めれば、その数はさらに膨れ上がる。特に中国版インスタグラム「小紅書」では、映画のロケ地巡りが人気の観光コンテンツとなり、小樽を訪れる外国人観光客の増加に拍車をかけている。

観光客の間で特に人気のスポットが「船見坂」だ。ここは映画のワンシーンに登場し、雪化粧した木造家屋と日本海を一望できる絶景が広がる。映画の雰囲気そのままに、写真を撮るために多くの観光客が訪れる。しかし、ここで思わぬ問題が発生している。

美しい風景の裏で——観光マナー問題が深刻化

船見坂には日々多くの観光客が訪れるが、その増加とともにマナーの悪化が問題視されるようになった。私有地への無断侵入、ゴミのポイ捨て、交通妨害など、地元住民の生活に支障をきたす事例が相次いでいる。

さらに、先月にはJR朝里駅付近で外国人観光客の死亡事故が発生し、事態はより深刻化した。これを受け、小樽市は観光客の安全確保とマナー向上のため、船見坂に警備員を配置する対応を取ることを決定。英語・中国語・韓国語で注意喚起を行い、少なくとも3月末まではこの警備体制を維持する方針を示している。

小樽市の取り組み——観光地と住民の共存を目指して

市は観光客のマナー向上に向けた施策を強化している。警備員の配置だけでなく、観光客への指導や、場合によっては罰則の導入も検討されている。

また、SNSを活用した啓発活動も行われており、小紅書などのプラットフォームで「小樽観光のルールとマナー」を発信する試みも始まっている。

しかし、観光業は小樽市にとって重要な産業であり、観光客の減少は経済に影響を及ぼす可能性がある。そのため、市としては観光客を歓迎しつつも、地元住民との共存を図るバランスの取れた対策を模索している。

『Love Letter』がもたらした影響——映画の魅力が今も息づく街

『Love Letter』のストーリーは、愛する人を亡くした女性・渡辺博子が、小樽の地で彼への思いを綴った手紙を送ることから始まる。彼女のもとに届いた返事は、亡き婚約者ではなく、彼と同姓同名の中学時代の同級生だった女性からのものだった。この偶然の出会いが物語を動かし、過去の記憶が美しくも切なく交錯する。

観客の感想には、
「手紙で過去を知り、手紙で思い出すところが切ない」
「何度観ても楽しめる緻密なストーリー」
「切ないテーマなのに、どこか晴れやかな気分になる」
「中山美穂の透明感や豊川悦司の魅力が際立つ」
「儚く切ない現実を描きながら、恋愛映画としても青春映画としても楽しめる」
といった声が多く寄せられている。

この映画の余韻に浸りながら、小樽を訪れる人々は多い。美しい雪景色とレトロな街並みが映画の世界を彷彿とさせ、ファンにとってはまさに聖地巡礼とも言える場所だ。