コロナ禍を超えたテーマパーク業界の進化:ランキング逆転と新たな挑戦
2020年から2024年にかけて、テーマパーク業界はコロナ禍による深刻な打撃を受けながらも、見事な復活を遂げました。この期間には、東京ディズニーシーとユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の入場者数ランキングが逆転するという注目すべき変化が見られました。さらに、2024年3月には、世界初となる『ドラゴンボール』をテーマにしたテーマパークがサウジアラビアにオープンすることが発表され、業界全体が新たなステージに突入しています。
サウジアラビアで誕生する『ドラゴンボール』テーマパーク
サウジアラビアでの『ドラゴンボール』テーマパーク建設は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が推進する経済改革「ビジョン2030」の一環として計画されました。これは、石油依存からの脱却を目指し、観光やエンターテインメント産業を柱とする経済の多角化を進める取り組みの一部です。
特に近年、サウジアラビアでは日本の漫画やアニメが若者を中心に人気を集めており、皇太子自身も日本文化のファンであることがこのプロジェクトの背景にあります。サウジアラビアの公共投資基金は日本の東映アニメーションと提携し、テーマパークの建設を進めています。
このテーマパークは、50万平方メートル以上の広大な敷地に7つのエリアが展開され、作品を象徴する「カメハウス」や「カプセルコーポレーション」が忠実に再現されます。さらに、70メートルの「神龍」を中心とした大型ジェットコースターを含む30以上のアトラクションが計画されており、ファンにとって夢のような体験が提供される見込みです。
日本のIPがテーマパーク産業を牽引する時代
『ドラゴンボール』テーマパークの建設は、日本のエンタメコンテンツが海外市場で強い影響力を持つことを象徴しています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、その成功例の先駆けといえるでしょう。
2021年にUSJでオープンした「スーパー・ニンテンドー・ワールド」は、「スーパーマリオブラザーズ」や「ドンキーコング」などの人気ゲームをテーマにしたエリアで、世界中から注目を集めました。このエリアでは、アトラクションの魅力だけでなく、キャラクターグッズや飲食メニューなどを通じて客単価の向上を図ることに成功しています。限られた収容人数の中で収益を最大化するには、IP(知的財産)の活用が重要な鍵となるのです。
USJの成功を受け、他のユニバーサルスタジオにも同様のIP活用が進んでいます。また、日本国内ではサンリオ・ピューロランドやジブリパークといった施設が外国人観光客の間で注目を集めています。
ジブリパークとサンリオ・ピューロランドの可能性
ジブリパークは、スタジオジブリの作品を基にしたテーマパークで、懐かしい日本の文化や風景を再現したアトラクションが特徴です。海外からの観光客をさらに増やすため、多言語対応や積極的なプロモーションが重要視されています。また、キャラクターグッズの販売も収益の柱となっており、訪問者が日本文化に触れるきっかけを提供しています。
一方、サンリオ・ピューロランドは、「ハローキティ」をはじめとするキャラクターの人気を活かし、外国人観光客へのアプローチを強化しています。多言語対応のガイドや、訪問者のニーズに応じたサービスの充実が進められており、インバウンド需要を取り込む体制が整えられています。未来を見据えるテーマパーク業界の挑戦
コロナ禍を経て復活したテーマパーク業界は、単なる観光施設ではなく、世界中の人々に感動を提供するエンターテインメントの中心地として進化を遂げています。特に、日本のIPを活用したテーマパークは、国内外での成功例が増えつつあり、今後も新たな可能性を切り開くことが期待されています。
サウジアラビアの『ドラゴンボール』テーマパークやUSJの「スーパー・ニンテンドー・ワールド」のように、観光産業とエンターテインメントが融合した施設が増えることで、テーマパーク業界はさらなる成長を遂げるでしょう。日本発のエンタメコンテンツが世界を魅了する時代は、まさに今から本格的に始まっています。