朝ドラ『あんぱん』第50話では、嵩(北村匠海)の出征シーンが主に描かれました。
東京に居るはずの母・登美子が、後方部から突然現れて、「死んだらダメよ。」と叫ぶシーンは、涙無くしては見られませんね。
とくに子どもを持つ母親たちの胸を深く打ったと思います。
今まで、自分勝手に生きてきた登美子は、「もしかしたら、我が子に関心を示さない毒親?」というイメージもありましたが、このシーンで、今までの行動をひっくり返すような言動に、びっくりした方も多いでしょう。
実質的な育ての母・千代子(戸田菜穂)も、この時ばかりは、自分の気持を代弁してくれた登美子に感謝したと思います。
登美子の「生きて帰ってきなさい」が響いた理由
嵩(北村匠海)が出征する朝、町の人々が「お国のために立派にご奉公を」と口をそろえる中、登美子だけが叫んだのは「死んだらダメよ。逃げ回ってもいい。生きて帰ってきなさい」でした。
この言葉は、戦時中という背景を考えると、決して口に出すことが許されないようなセリフです。
しかし、母親であれば誰しもが共感せずにはいられないその願い。
「生きていてくれるだけでいい」という思いは、どんな時代でも変わらない母の本音ではないでしょうか。
北村匠海が演じた嵩の出征シーンのリアリティ
北村匠海さん演じる嵩の姿には、若者らしい不安と決意がにじみ出ていました。
丸刈りにした頭で整列し、敬礼する彼の姿は、まさに現実味をもって描かれており、画面越しにもその緊張感が伝わってきました。
SNSでも「本当に戦地に送り出されるようで涙が止まらなかった」「母親の気持ちになって見てしまった」といった共感の声が相次いでいます。
母の視点で見ると、わが子を送り出す重みが痛いほど伝わるシーンだったのではないでしょうか。
SNSに溢れた「登美子優勝」ツイートの数々
放送後、SNSでは「登美子優勝」「母の本音が胸に刺さった」といった声がトレンド入りしました。
「今これを言えるのはこの人だけ」「非国民と罵られても子どもを守る姿勢に涙した」など、多くの母親がその強さと優しさに感情を揺さぶられたようです。
母という立場から見ても、子どもの未来を願うがゆえの言葉を堂々と発する登美子の姿は、とても勇気にあふれていました。
今までも、自由奔放に自分の意見を言って来た登美子にしか、こんな言葉は言えなかったでしょう。
自分なら同じ言葉を言えるだろうか――そう思わせるリアルな描写でした。
登美子のセリフ全文とその裏にある思い
「死んだらダメよ。絶対に帰ってきなさい。逃げ回ってもいいから。卑怯だと思われてもいい…生きて帰ってきなさい」
このセリフには、登美子自身のこれまでの後悔や葛藤もにじんでいます。
これまで嵩に厳しい言葉を浴びせてきた母が、初めて見せた本音の叫び。
親として間違ってきたかもしれない過去を悔いながらも、今だけは伝えたい「生きて」という一言。
その力強さと真実味が、視聴者の心を震わせました。
『あんぱん』が描く“逆転しない正義”の象徴シーン
『あんぱん』は、やなせたかしさん夫妻をモデルにした物語として知られています。
のぶ(今田美桜)の「死んだら承知しない、お母さんのために生きて戻って来い」というセリフと、登美子の思いが重なるこのシーンは、まさに作品の中核である“正義とは何か”を問う場面です。
勝つことや正しさではなく、大切な人を守ること、命をつなぐこと。
それが『あんぱん』が私たちに訴えかけるメッセージなんでしょうね。
史実では?本当に登美子は出征時にこう言った?
残念ながら、出征時に登美子が、本当に叫んだかどうかはわかりませんが、「崇に本当に死んでもらいたくない、生きて返ってほしい」という気持ちが強かったのは確かでしょう。
自分勝手に我儘に生きていた母親でも、子どもに対する愛情は、みんなと変わらないという証拠ですね。
ただ、お互いに、愛情表現が不器用なため、普通の親子のように接する時間は、あまり無かったようです。
それでも、やなせさんは、「自分を捨てた母への恨み」を一切持っていなかったということから、母親に深い愛情を抱いていたことはわかります。
この詩集の中には↓、戦後、やなせたかし氏が戦場から戻ってきた時の、母親との会話が、しんみりと語られています。
まとめ
母の思いを真正面から描いた『あんぱん』第50話は、多くの母親たちの心に深く残るエピソードとなりました。時代が違えど、子どもを思う気持ちは普遍です。
登美子のセリフを通して、今一度「命の重さ」や「家族のつながり」を見つめ直したいと感じた方も多いのではないでしょうか。
情報元:【あんぱん】嵩の母・登美子の本音に視聴者感激「初めていいことを言った」「胸が痛くなる」