ドラマ『あなたを奪ったその日から』第5話の感想
北川景子さん主演のドラマ『あなたを奪ったその日から』(カンテレ・フジテレビ系)は、復讐と親子愛を軸にした重厚な人間ドラマですね。
初回から、大事な娘を亡くした北川さんの演技に心えぐられ、YUKIデリ社長の対応に、「ひどいなー。」と当事者でも無いのに、憎しみが湧いてきたものです。
ただ、幼い娘を亡くす(結城旭の場合は居なくなり、そのまま見つからない)気持ちは、同じだとは思うのですが。。。
とは言え、今のところ表面上は、結城旭は娘たちへの愛情表現も下手で、会社でも部下を非常に切り捨てる、冷酷な男のような描かれ方をしています。
だから、紘海が、どんどん結城旭に憎しみを募らせるのもわかるんですよね。
しかも、憎き相手の子どもだった萌子が、誘拐(実際は、自分から紘海の車に乗ってきた)という形で自分の元に来て、そのまま帰せないうちに、親子の愛情が確率してしまったのですから、複雑な心境になるのも無理はありません。
第5話では、主人公・中越紘海が抱えていた最大の秘密がバレそうになります。13歳の少女・美海。彼女は一体誰の子なのか?なんて、言うまでもありませんが、雪子先生や、周りの人達にとっては、謎のままです。
そしてなぜ紘海は母として嘘をついてまで美海を育ててきたのか——。
この記事では、美海の正体と紘海の過去の選択、そして登場人物たちの複雑な関係性を掘り下げていきます。
美海の正体が露見?第5話の衝撃
第5話では、紘海の娘として育てられてきた美海の正体がクローズアップされました。保育園園長である雪子(原日出子)が自宅を訪れた際、紘海の娘だと名乗る美海と偶然出会います。13年前、妊娠していなかったはずの紘海に子どもがいることに疑問を持った雪子は、後日、紘海に「血がつながっていないのね」と問いかけます。
この問いかけに対し、紘海は「ごめんなさい」と素直に謝罪。雪子はその謝罪を責めることなく、「あなたは子どもを不幸にするような人じゃない」と語り、いつか美海に真実を話せる日が来ることを願います。このシーンは視聴者の間でも「雪子先生、優しすぎる」「さすが保育士」と高く評価され、多くの感動を呼びました。
紘海がついた最大の嘘とは?
紘海が美海に対して母親として接していたことは、実は彼女がついた最大の嘘でした。紘海は、食品事故で娘・灯を亡くし、その喪失感から抜け出せずにいたと考えられます。そんな中、事故を起こしたスーパーの社長・結城旭の娘である萌子が、ひょんなことから自分の車に乗り、自宅に連れてきた紘海は、返すこともできず、美海として育てることを選んだのでした。
「この世界には2種類の嘘がある」と語る紘海。それは「誰かを陥れるための許されない嘘」と「誰かを守るための優しい嘘」です。美海への嘘は明らかに後者にあたります。彼女を守るため、そして自身の再生のために必要だったのです。
結城旭が隠すYUKIデリ事故の真相
物語の中核にあるのが、YUKIデリで起きた食品事故の真相です。この事故により紘海の娘・灯が命を落とし、紘海はその原因を突き止めるため、結城旭が設立した新たなスーパー「スイッチバック」に転職します。相談室に配属された紘海は、結城への誹謗中傷投稿の調査を通じて、事故に関与していた人物や隠された真実に近づいていきます。
やがて結城の部下である望月(筒井道隆)と記者・東(仁村紗和)が動き始め、元調理責任者・鷲尾(水澤紳吾)の告発動画が届くことで、事態は急展開を迎えます。結城が何を隠しているのか、そして真相が明らかになったときに何が起こるのか、今後の展開が注目されます。
梨々子と玖村——ねじれた再会
第5話では、結城の長女・梨々子(平祐奈)と、過去に冤罪で人生を狂わされた玖村毅(阿部亮平)の再会も描かれました。マッチングアプリを通じて再び出会った二人。玖村は「俺だとわかって誘ったのか」と怒りをあらわにしますが、梨々子は「謝りたかった」と涙ながらに訴えます。
このシーンに対してSNSでは、「玖村くん、優しすぎる」「話を聞くのか…」といった声が多数寄せられました。かつての過ちを謝罪しようとする梨々子と、過去を乗り越えようとする玖村。2人の関係がどのように展開していくのかも見逃せません。
母性と保育士としての雪子の立ち位置
雪子は紘海の過去を察しながらも、過度に踏み込むことなく、寄り添う姿勢を貫きます。彼女の「子どもを不幸にするような人じゃない」という言葉には、長年保育士として多くの家庭を見てきたからこその深い洞察が感じられました。
視聴者からも「雪子先生は本当にいい先生」「感情的にならず大人の対応」と高評価が相次ぎ、今後も物語のキーパーソンとしての活躍が期待されます。
親子の嘘と真実——テーマとしての「多面性」
「人の心は万華鏡のようなもの」という結城の言葉が象徴するように、本作は一人の人間が抱える多面性を丁寧に描いています。紘海、旭、美海それぞれが嘘と真実の狭間で揺れ動き、観る者に「本当の正しさとは何か」を問いかけてきます。
真実はときに人を傷つけ、嘘は人を救うこともあります。しかし、嘘が明るみに出たとき、そこに残るのは深い後悔かもしれません。だからこそ、本作が描くドラマにはリアルな重みがあり、多くの視聴者の共感を呼んでいるのです。
北川景子が演じる紘海の感情表現の巧みさ
北川景子さんの演技も本作の大きな魅力のひとつです。涙を見せず、抑えた表情の中で複雑な感情を表現する姿は、まさに母としての葛藤をリアルに映し出しています。
これまでの出演作『家売るオンナ』『リコカツ』『謎解きはディナーのあとで』などでも知られる北川さんですが、本作での演技は特に評価が高く、SNSや視聴者の間でも「神演技」「表情だけで伝わる」と絶賛されています。
また、結城旭を演じる大森南朋さんとは映画『スマホを落としただけなのに』(2018年)などでも共演しており、二人の重厚な演技のぶつかり合いは見応え十分です。
まとめ
『あなたを奪ったその日から』は、登場人物の嘘と真実が複雑に絡み合う重層的なストーリーを描いています。第5話で明かされた美海の正体と紘海の葛藤は、物語の核心に迫る大きな転機となりました。
今後、結城旭の秘密がどのように暴かれ、紘海と美海の関係がどう変化していくのか——物語の行方から目が離せません。