松村北斗主演『秒速5センチメートル』実写化の理由とキャスト裏話
新海誠監督が2007年に手がけた名作アニメーション『秒速5センチメートル』が、SixTONESの松村北斗さん主演で実写映画化されることが発表され、話題となっています。本作は、新海作品としては初の実写映画化という点でも注目を集めています。この記事では、実写化の背景やキャスト情報、制作秘話、そしてファンが気になる実写と原作の違いについて詳しくご紹介します。
『秒速5センチメートル』とは?名作アニメの魅力と実写化の意義
『秒速5センチメートル』は、新海誠監督が描く3部構成の連作短編アニメーションです。第1話「桜花抄」、第2話「コスモナウト」、第3話「秒速5センチメートル」から成り、主人公・遠野貴樹の幼少期から青年期までの18年間を通して、時間と距離がもたらす心の変化が丁寧に描かれています。
63分という短さながら、桜の舞う中でのすれ違いや心の機微を繊細に表現し、国内外で高い評価を受けた本作。その詩的な映像と静かな感情のうねりは、多くのファンにとって忘れられない作品となっています。
実写化が難しいとされてきた理由のひとつは、アニメならではの詩的表現が強く、説明的でない感情描写をいかにリアルに再現するかという点でした。それだけに、今回の実写化には大きな期待と同時に、慎重な制作姿勢が求められていたのです。
松村北斗が演じる“遠野貴樹”とは?役作りとコメント
主人公・遠野貴樹を演じるのは、SixTONESの松村北斗さんです。松村さんはこれまでにも『恋なんて、本気でやってどうするの?』(フジテレビ系)や『パーフェクトワールド』などで繊細な演技を見せてきました。今回の実写化でも、思春期の揺れ動く感情や大人になってからの孤独感を、リアルに演じきることが期待されています。
役作りにあたって松村さんは、幼少期からの感情の連なりを意識し、各年代の貴樹を一貫した「心の流れ」で表現することに力を入れたと語っています。また、静かなモノローグが多くを語る本作において、「言葉よりも視線や姿勢で伝える」演技を追求したとのことです。
新海誠が実写化を許可した理由とは?初の実写化の裏側
これまでアニメーションに強いこだわりを持ってきた新海誠監督が、なぜ本作に限って実写化を許可したのでしょうか。その背景には、監督・奥山由之さんとの信頼関係がありました。
奥山監督は、脚本制作の段階から新海監督と意見交換を重ね、原作の「言葉にできない気持ち」を実写ならではの映像言語で表現する方向性を確立していったといいます。新海監督は「彼の映像表現は、アニメではなくてもあの世界観を描けると思えた」とコメントを寄せており、実写化に対する信頼を見せました。
アニメと実写の違いはあるものの、本質的な“距離と時間が生むすれ違い”というテーマは変わっていません。表現方法を変えつつも、感情の核心を失わない姿勢が、今回の実写化を可能にしたといえるでしょう。
監督・奥山由之はどんな人?実写化を託された理由
実写映画の監督を務める奥山由之さんは、写真家・映像作家として活躍する注目のクリエイターです。米津玄師さんの「感電」や星野源さんの「創造」など、多数のミュージックビデオで独自の映像世界を築き上げてきました。
映画監督としては、オムニバス長編『アット・ザ・ベンチ』で北京国際映画祭「FORWARD FUTURE」部門最優秀脚本賞を受賞するなど、実力派としての評価も高まっています。
今回が初の大型長編映画監督作となる奥山監督は、本作に対し「原作アニメにリスペクトを持ちながらも、自分の表現として完成させたい」と意欲を語っています。詩的で緻密な映像表現に長けた彼の手腕が、実写化の鍵を握る存在となっているのです。
子役・白山乃愛と上田悠斗の魅力と演技指導
遠野貴樹の幼少期を演じる上田悠斗さんと、篠原明里の幼少期を演じる白山乃愛さんも話題を集めています。
上田さんは、本作が俳優としてのデビュー作。演技経験ゼロながらも500人を超えるオーディションから選ばれ、奥山監督の指導のもと自然な表現を学びました。「監督がワークショップで何度も優しく教えてくれて、楽しく演じられました」と振り返っています。
一方、白山乃愛さんは2022年の「東宝シンデレラ」オーディションで史上最年少グランプリを受賞。『Dr.チョコレート』や『ゆりあ先生の赤い糸』など話題作への出演が続き、子役として実力を磨いてきました。「幼少期の明里ちゃんそのままで演じられたと思います」と自信をのぞかせています。
監督は撮影の2カ月前からワークショップを重ね、二人が安心して演技に臨める環境づくりを徹底しました。この準備期間が、子役たちの自然な演技につながっています。
ロケ地・撮影背景と特報映像の魅力
特報映像では、松村さん演じる遠野貴樹のモノローグ「いつもどこかに、あの頃の気配を探している」という言葉から始まり、雪と桜が舞う幻想的な映像が印象的です。
劇中曲「想い出は遠くの日々」は、原作でも使用された天門さんの楽曲を江﨑文武さんがカバーし、本作のために再構成。原作の世界観を踏襲しつつ、実写ならではの感情表現を深めています。
ロケは種子島や東京など、原作に登場する場所で行われ、春・夏・秋・冬をまたぐ長期撮影により、自然光とともに時間の流れが映像に取り込まれています。ティザービジュアルでは、桜の木の下でシャボン玉を飛ばすシーンや、踏切越しに見つめ合うシーンなど、物語の原点ともいえる情景が切り取られています。
まとめ
松村北斗さん主演で実写化される『秒速5センチメートル』は、原作への深いリスペクトと新たな表現への挑戦が融合した作品となっています。新海誠監督が初めて実写化を許可した理由、奥山監督の繊細な演出、キャストたちの熱意ある取り組み……そのすべてが、観る者の心に静かに響くであろう本作を支えています。
10月10日の公開が、今から待ちきれません。
よくある質問(FAQ)
Q1. なぜ今『秒速5センチメートル』が実写化されたのですか?
今だからこそ描ける“リアルな感情”を表現するためです。現代の映像技術と俳優の演技力によって、アニメでは伝えきれなかった深い感情をより繊細に表現することが可能となりました。
Q2. 松村北斗さんの役作りはどのように行われたのですか?
年代ごとの心情変化を一貫した流れとして捉える演技を目指し、視線や姿勢で感情を伝えることに重点を置いたとのことです。
Q3. 白山乃愛さんが篠原明里に選ばれた理由は?
明るく素直な性格が、幼少期の明里にぴったりだったためです。また、演技経験とオーディションでの表現力も高く評価されました。
Q4. 奥山由之監督はどんなタイプの演出家ですか?
ミュージックビデオで磨いた詩的で感覚的な映像演出が得意で、俳優と信頼関係を築くことにも長けた人物です。