新たなスイーツトレンドが誕生した。驚異的な売れ行きを見せているのは、「ドバイチョコレート」と呼ばれる新感覚のチョコレートバーだ。わずか1週間で3万件もの注文を記録し、その人気は瞬く間に世界中へと広がった。このスイーツの誕生秘話、爆発的ヒットの理由、そして日本市場への影響について詳しく見ていこう。
ドバイ発!サクサク×濃厚な「FIXチョコレート」の正体とは?
このドバイチョコレートの原点となるのは、「FIXチョコレート」というスイーツだ。ドバイ在住のイギリス系エジプト人、サラ・ハムーダさんが副業として始めたもので、細麺状の生地「クナーフェ」にピスタチオとタヒニペーストを組み合わせた独特の製法で作られている。
手作業で製造されるため大量生産が難しく、当初はオンラインショップのみで販売されていた。しかし、売れ行きは芳しくなく、1週間に1本しか売れない時期もあったという。
ところが2023年12月、フードインフルエンサーのマリア・ヴェヘラさんがTikTokにASMR動画を投稿したことをきっかけに、状況は一変。チョコレートを噛んだ瞬間の「ガリッ」「ザクッ」とした食感が視覚と聴覚に刺激を与え、世界中で一気にブームが巻き起こったのだ。
爆発的ヒットの理由は「食感」と「SNS効果」
FIXチョコレートの最大の特徴は、圧倒的な「クランチ感」だ。口に入れた瞬間に広がるサクサクとした食感と、ピスタチオの濃厚な味わいがクセになる。
さらに、このスイーツが世界的に注目を集めた要因の一つが「ASMR動画」との相性の良さだ。韓国のモッパン動画では、このチョコレートを咀嚼する動画が頻繁に投稿され、そのたびに視聴者からの反響が相次いだ。結果的に、世界中のインフルエンサーが次々と紹介し、ブームは瞬く間に拡大していった。
「甘すぎる?」実際に食べた感想
筆者自身もFIXチョコレートを試してみたが、その食感のインパクトには驚かされた。ペースト状の部分が粗めに作られているため、滑らかさとジャリッとした歯触りが混在しており、これが独特の食感を生み出している。
味についても、世界中で人気を集めているだけあって美味しい。しかし、中東のお菓子らしく非常に甘みが強いため、一度に食べるにはややヘビーに感じるかもしれない。甘党にはたまらないスイーツだが、そうでない人には少し刺激が強いかもしれない点は付け加えておきたい。
世界中で「ドバイチョコレート」旋風!ヨーロッパでも社会現象に
FIXチョコレートの人気は中東圏にとどまらず、ヨーロッパにも波及している。
2024年11月14日、イギリスの新聞「The Independent」には「話題となったドバイ発のチョコレートブームがヨーロッパに到来?そのチョコレートが特別な理由とは?」という記事が掲載され、「ドイツのアーヘンでは、雨の木曜日午後に何百人もの人々がこのチョコレートを手に入れるために数時間並んだ」と報じられた。
また、2024年6月18日付のCNNの記事では、「南アフリカのチョコレート闇市場ではFIXチョコレートが高額で取引されている」という驚くべき情報も紹介されている。
サイトにアクセス殺到!価格高騰も?
ドバイ本土でもFIXチョコレートの人気は沸騰しており、定価68.25ディルハム(約2700円)の商品が転売市場では1万円を超える価格で取引されるケースも発生している。
オンライン販売を中心に展開されているため、「一度その味を試してみたい」「転売目的で確保したい」といった理由で、発売と同時にアクセスが殺到する状態が続いている。
日本にも進出!「ドバイチョコレート」はどこで買える?
日本でもFIXチョコレートの人気にあやかった類似商品が登場しており、カルディや一部のドラッグストアでは「ドバイチョコレート」と名のついた商品が販売されている。
さらに、トルコの高級スイーツブランド「divan(ディヴァン)」が、2025年1月に「ドバイチョコレート」の販売を開始することを発表。銀座松屋などでの取り扱いが予定されている。
本家FIXチョコレートの海外展開はまだ本格的に進んでいないが、日本でもその影響は確実に広がっていると言えるだろう。
「元祖」にこだわる創業者の想い
世界的なブームにも関わらず、創業者のサラ・ハムーダさんは慎重な姿勢を崩していない。現在、FIXチョコレートのスタッフは50人に増員されているものの、大量生産による品質低下を避けるため、あくまでも手作りにこだわり続けているのだ。
また、類似商品の流通についても、「似たような商品が出てくるのは私たちが前進し続けるための良い刺激になっている」と自信を見せる。
「私たちのバーを地元のお客様だけでなく、国際的なお客様にも届けられる機会を得たことは信じられないほど素晴らしいです。日本の皆さんにもFIXが生まれた地・ドバイを訪れ、製造から3日以内の新鮮なオリジナルの味を楽しんでほしいです」と語るサラさん。
この一つのチョコレートバーから始まった物語は、今まさに世界を巻き込むスイーツ革命へと発展している。次にあなたが訪れるスイーツショップでも、「ドバイチョコレート」に出会う日がそう遠くないかもしれない。