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お米の価格はいつ下がる?「消えた21万トンのコメ」はどこに?

「消えた21トンのコメ」の行方は? コラム

コメ価格が異常高騰!“消えた21万トン”の謎に迫る

コメの価格高騰が止まらない。2023年12月の販売価格は前年同月比で約1.6倍に達し、多くの消費者が悲鳴を上げている。なぜここまで価格が上昇したのか。農林水産省は、21万トンものコメが市場に出回らず“行方不明”となっている事実を指摘した。この“消えたコメ”の謎に迫る。


おにぎり専門店も苦境…値上げしても利益ギリギリ

もちもち食感が人気の山形県産コメを使用している、おにぎり専門店「おにぎり戸越屋」。40種類ほどのおにぎりを販売しているが、店頭価格を値上げせざるを得ない状況だ。

木本英二管理部長は、「(店頭価格を)値上げをしたばっかり。約1.1倍から1.2倍上げています」と話す。
しかし、原材料の仕入れ値はさらに上昇し続けており、値上げをしても利益はほとんど残らないのが現状だ。


スーパーのコメ価格も急騰!“令和の米騒動”再び?

横浜市のスーパー「セルシオ和田町店」では、コメの価格を見比べる買い物客の姿が見られた。

「(2キロ税抜き)1490円。1469円。ちょっと高いね」(80代女性)

昨年秋には5キロ2000円ほどだったコメが、この日は3400円で販売されていた。これは、昨年話題となった“令和の米騒動”のときよりも高い水準だ。

家計を直撃する価格高騰に、消費者は節約を余儀なくされている。

「5キロは高すぎて買えない。給料日までなので、きついかなって」(40代男性)

また、コメに代わる主食を探す人も増えている。

「パンにしたり、うどんにしたり、代用できるところはしています」(50代女性)

「消えた21トンのコメ」の行方は?


新米の流通でも価格は下がらず…一体なぜ?

農水省の発表によると、スーパーなどの販売価格は2023年と比べて1.6倍に上昇。通常、新米の流通とともに価格が落ち着くとされていたが、今回はその傾向が見られない。

そこで、茨城県のコメ農家を訪ねてみた。

「主食米を増やしました。足りてないということで」(コメ農家)

もともと飼料用米の生産割合が高かったが、今年は主食用米への切り替えを進めている。しかし、価格の高騰は止まらない。

「誰が(コメを)持っているんだろう…」
「ない…。ない…」
「業者間でやりとりしている間に消えているとしか思えない。農家はもう売った段階で、それ以降の流通は全然みえないので」

農家は生産量を増やしているにもかかわらず、市場にはコメが出回らない。この“消えたコメ”が価格高騰の原因なのだろうか?


21万トンのコメが“行方不明”…農水省が調査へ

農水省の調査によると、市場に流通しているコメの量を見た場合、約21万トン、茶わん32億杯分ものコメが“消えた”計算になる。

江藤拓農水相は、「コメは十分に供給されているのに市場に出てこないということは、どこかに滞っていると考えざるを得ない」と指摘。

一体、消えたコメはどこにあるのか?市場関係者によると、一部の卸売業者や生産者が、価格高騰を見越して“ストック”している可能性が高いという。

「より高く売れるタイミングを待って、余分にストックしている。そのため、市場に出回る量が減り、引き続き高値が続いている」(市場関係者)

つまり、投機的な動きによって供給不足が生じ、価格が押し上げられているのだ。


農水省の対策…備蓄米の販売で価格を安定させられるか?

価格高騰を受け、農水省は政府が保存している備蓄米を市場に放出する制度を発表。これにより、流通量を増やし、価格の安定を狙う考えだ。

スーパーセルシオ和田町店の鶴田英明店長は、「市場に流れるコメの総量が増えるので、値段を抑えられるかもしれない。(流通量を増やすために)政府の人に頑張ってほしい」と期待を寄せる。

消費者も、この対策に期待を寄せる声が多い。

「(備蓄米)あるなら出してほしい」(買い物客)
「(コメの価格が)下がるなら、そちらの方がうれしいです」(買い物客)

農水省は、行方不明となっているコメの調査を進めるとともに、集荷業者や卸売業者の在庫状況を確認する方針を示している。


コメ価格はいつ安定するのか?今後の動向に注目

消費者の食卓に欠かせないコメ。価格高騰の背景には、流通業者によるストックが影響している可能性が高い。農水省の対策が効果を発揮すれば、市場価格の安定化が期待されるが、今後の動向を注視する必要がある。

この異常なコメ価格の高騰は、一時的なものなのか、それとも長期化するのか。政府の対応次第で、私たちの食卓事情も大きく左右されることになりそうだ。