新一万円札を結婚式の御祝儀に使うのはマナー違反?そもそも新札じゃないといけないの?

新一万円札を結婚式の祝袋にいれるのはマナー違反? コラム

渋沢栄一の新紙幣は「ご祝儀に不適切」?—話題の背景とその真相

2024年7月、約20年ぶりに日本で新紙幣が発行されました。表面に描かれる肖像画が刷新されたことは大きな話題となり、新札への関心も高まりました。

その中で、表面に渋沢栄一を採用した新一万円札が、「結婚式のご祝儀には適さない」との意見がインターネットを中心に広まり、物議を醸しています。

そんな論調が生まれた背景には何があるのでしょうか?株式会社トキハナ(東京都港区)が実施したアンケート結果をもとに、現代の結婚式における祝儀事情を読み解いてみましょう。

新一万円札を結婚式の祝袋にいれるのはマナー違反?

新紙幣のご祝儀使用はマナー違反?—調査結果から見える実態

株式会社トキハナが2024年7月から8月にかけて、全国の20~40代の男女326人を対象にインターネット調査を行った結果、「渋沢栄一の新紙幣をご祝儀に使用することはマナー違反だと感じる」と回答した人は約3割に上りました。

具体的な結果としては、渋沢栄一の新紙幣を結婚式のご祝儀に使うことについて「マナー違反だと感じる」と答えた人は30.9%、一方で「マナー違反だと感じない」と答えた人は69.1%という結果が出ています。

この結果からわかることは、多くの人が新紙幣を用いた祝儀をマナー違反とは見なしていないものの、一定数の人々が「新札を使うのは適切ではない」と感じていることです。

「新札」が「新紙幣」になるとマナー違反に?—広がる謎のルール

一般的に結婚式のご祝儀には「新札」がマナーとされてきました。

新札には「新しい生活を応援する」という意味が込められており、これまでの祝儀では新しい紙幣やピン札を用意することが礼儀とされてきたのです。

しかし、今回の調査では「新札がマナー違反」といわれる不思議な現象が起こっています。

その発端は、インターネット上で話題になった「渋沢栄一は女遊びが激しく、不貞を連想させるため、結婚式のご祝儀にはふさわしくない」とする意見です。

この論調は瞬く間に拡散され、ネット上で賛否を呼びました。

これに対して、福沢諭吉の旧一万円札は「生涯を通じて結婚前後の女性関係に問題がなく、結婚式のご祝儀にはふさわしい」といった比較が行われたこともあり、一部の人々の間で「渋沢栄一の新紙幣を結婚式に使うのはマナー違反」という考えが生まれたのです。

新一万円札を結婚式の祝袋にいれるのはマナー違反?

マナーを巡る論争—新郎新婦の判断が重要に

アンケート結果によると、「渋沢栄一の新紙幣をご祝儀に使うことがマナー違反だという声を知っている」と答えた人は29.2%でした。

つまり、約3割の人々がこの話題を認知しており、少なからず新紙幣の使用について疑問を感じていることがわかります。

株式会社トキハナは今回の結果を受け、「結婚式業界には、時折『謎の説』や『不確かなルール』が出現することがある」と指摘しています。

結婚式という特別なイベントでは、ゲストや新郎新婦にとっての「正しいマナー」に対する解釈が多様化しがちです。

そのため、時には根拠のない風習やルールがまかり通り、それが広まることで新郎新婦やゲストが不必要なプレッシャーを感じる要因にもなりかねません。

多様化する結婚式の価値観—マナーの正解は主催者次第

こうした「謎のルール」が蔓延する背景には、結婚式に対する価値観の多様化があると考えられます。

かつては伝統的なマナーや風習が重視されていましたが、現代では新郎新婦が自由に自分たちのスタイルを表現することが尊重されるようになってきています。

そのため、結婚式のマナーやルールも一律に適用できるものではなく、主催者である新郎新婦が自らの意志をもって決めることが重要だといえるでしょう。

株式会社トキハナは、「今後は主催者となる新郎新婦が意思をもって決めたことが正解であるとするスタイルが求められる」と提言しています。

そして、「主催するふたりは『謎の説』や『不確かなルール』についてそのまま鵜呑みにせず、根拠のないものは気にしない旨を可能な範囲でゲストにアナウンスすることも有効」と述べています。

結婚式のご祝儀は「心」を伝えるもの—紙幣の肖像にとらわれない選択を

結婚式のご祝儀は本来、新郎新婦の新たな門出を祝う気持ちを伝えるものです。

そのため、使用する紙幣が新札であるか、旧札であるか、新紙幣であるかは、厳密にはそれほど重要ではありません。

今回のアンケート結果からも、多くの人々が新紙幣をマナー違反とは感じていないことが示されています。

結婚式にまつわるマナーやルールは時代とともに変化していくものです。

新札の使用に際しては、形式や風習にとらわれすぎず、主催者とゲストが互いに心地よい形で祝福を伝え合える環境づくりが求められるといえるでしょう。

新札に渋沢栄一が描かれていようと、福沢諭吉が描かれていようと、大切なのはその紙幣に込められた祝福の気持ちです。

新紙幣にまつわるマナー論争をきっかけに、結婚式のあり方を再考する良い機会とし、自分たちらしい祝福の形を模索してみてはいかがでしょうか?

新一万円札を結婚式の祝袋にいれるのはマナー違反?

そもそも新札じゃないとマナー違反?

結婚式のご祝儀には新札を用いることが好まれ、その理由は新郎新婦の新しい門出を祝うメッセージや、結婚式を心待ちにしていた気持ちを表現するためです。

新札が見つからない場合、銀行の窓口や両替機で入手することが確実です。

また、どうしても新札が手に入らない場合に使用済みのお札を入れることはマナー違反とされるわけではなく、ピン札(折り目やシワのないお札)を用いることで問題に対処できるとされています。

そもそも、ご祝儀において、必ずしもピン札や新札を入れる必要はなく、それが望ましいというだけ。

ただ、新郎新婦の捉え方にもよりますが、可能な限り新札やピン札を用意するのが安全策とされています。

新札が手元にない場合、銀行の窓口や両替機で取得することが確実であり、特に銀行は15時で閉まることが多いため、結婚式に参加する予定がある場合は早めに準備することが重要です。