絵本が映画になることってよくありますが、たいていは、「普遍の名作」と言われるような、昔から読み続けられているものが多いですよね。
この「えんとつ町のプペル」は16年に発売され、累計発行部数50万部を記録した、まさに絵本のベストセラーと言うような作品で、作者が、あのお笑いコンビ・キングコングの西野亮広さんです。
西野さんはすでにアーティストとしても有名で、そういった意味では「異色」では無いのですが、今までの絵本の枠にはとらわれないところは、異色と言えば異色ですね。
物語は、常に厚い煙に覆われ、空を見上げることを忘れた「えんとつ町」を舞台に描かれ、星を信じる少年ルビッチと、ハロウィーンの夜にゴミから生まれたゴミ人間プペルが主人公。
二人で、「星を見つける旅」に出かけるというのが物語の中心となっている、ファンタジックで壮大なテーマのお話です。
西野さんは、今回の映画では監督も務められたのですが、西野監督は、「そもそも映画化を念頭に置いて書かれた企画で、絵本は作品を知ってもらうためのスピンオフとして書かれたもの」だということ。
スポンサーリンク
これにはびっくりしましたね。
てっきり、絵本があれだけヒットしたから、映画化の話が持ち上がったのかと思っていました。
以下は、映画の完成記者会見での西野監督の話から抜粋しました。
「映画の脚本は7つの章で構成されていました。
絵本はえんとつの町がある場所から始まるのですが、絵本にはなぜ4000メートルの断崖に囲まれた町が作られたのかは書かれていません。
絵本には海に出ることを禁じられているというセリフが一行だけあるが、なぜかは書かれていません。」ということ。
さらに「誰も死なない映画を見に映画館に行く人の姿が想像できなかったので、第1章、第2章、第5章、第6章、第7章をカットしてスピンオフとして公開し、まずは知名度を上げることにしました。他にこの映画を届ける方法はありませんでした」と続けました。
西野監督は「今年はコロナは外せない。頭上の黒煙で見えなくなっていた世界は、今の私たちが体験している世界と共通点が多い。くしくも、その年に映画化が発表された」と、コロナの危機との関連性を強調。
プペル役の窪田正孝さん(31)とルビッチ役の芦田愛菜さん(16)を選んだ理由は?と聞かれると、西野さんは、とても熱のこもった声でこう言ったそうです。
「観客の皆さんは、どうしても今年の経験(コロナ)を、煙にまみれた空を見上げている二人に重ね合わせて見てしまうでしょう。そうすると、嘘をついてはいけないと思うんです。根っからそういう性格を持った方が良いなー、と。
ルビッチはウジウジしていて気が弱いけど、いざとなったら強い言葉を投げかけます。
芦田さんも言いそうだし、強さがある人。
プペルは異常にピュアなんだけど、窪田さんもとても純粋な方なんです。
お二人の人間性に助けられた部分は大きかったですね。」
「怖がりだけど強い」というキャラクターの少年役を、見事に声だけで演じた芦田愛菜さん、「ゴミ人間」という、今まで誰も演じたことのない役を、これまた声だけで表現した窪田正孝さん。
このお二人じゃないと、この作品は完成しなかったと言っても過言ではないでしょう。
とにかく、「ルビッチのような人」ということで、声優さんではなく、芦田愛菜さんを選び、窪田正孝さんのインタビューやバラエティ番組での立ちふるまいを見て、「ゴミ人間プペルの優しさや純粋さを感じた」ということで、お願いしたのだそうですよ。
ピッタリというより、「最初からお二人をイメージして作られた作品」と言われても信じてしまうくらい合ってますね。
今から公開されるのが楽しみです。